ラビ

律法学者のことで、タルムード(律法の注釈)の解釈などを行って、ユダヤ人の生活に助言する。俗人であるので、妻帯もできるし、聖職者というわけではないが、相応の尊敬は払われる存在。

参考:ハリイ・ケメルマン「金曜日ラビは寝坊した」(ハヤカワミステリ文庫)


リドルストーリー

ミステリーで最も重視される物語の結末部分を敢えて記述せず、
その全て、もしくは主要な部分を読者の判断に委ねた形で終結
させる形式の小説を指す。

この形式をとった小説として、フランク・R・ストックトンの
『女か虎か』が特に有名である。         (A.M.)


リノリウム

抗菌性、耐磨耗性、防災性、帯電防止性に優れた床材。

舞台となる建物の床材として、なぜかミステリには多く登場する。
その原因は未だ不解明。


流水大説

清涼院流水氏の作品を指す呼称。
信者じみたファンが喜んで使い始めたのかと思いきや、ご本人が最初にこの呼称を使いだしたと
いうのだから凄まじい。その理由は、なんでも「小説という定義には収まりきらないから」だとか。
事実、ミステリという枠を超越しきった作品が揃っており、波長が合うととことん楽しいが波長が
合わないと殺意を覚えるほどつまらない。激しく人を選ぶ作品群であると言えよう。
その特性から、「中身を見ずに買ってはいけない作品」の筆頭としてしばしば挙げられる。
立ち読み、もしくは図書館などを利用して自分に合うかどうか見極めた上で買わないと激しく
後悔する危険性あり。しばしば地雷の例として挙げられるが、ファンが多数いる
ことも事実であり、客観的に駄作と断じることもできない。よくも悪くも扱いにくい作品である。
現代ミステリを読むのであれば、一度は目を通しておきたい作品と言えよう。ただし二度読む
価値があるかどうかは人による。ちなみに編者は一度読んで精魂尽き果てた。

なお、「これはもはやミステリではない」との主張が擁護派・否定派の双方から頻出している
ことも付記しておく。


理系ミステリ
講談社お得意の無理矢理なキャッチフレーズ。
JISにのっとった表記を用いる作者に冠されることが多い。
一部では「キモイ」と言われるものの「そうでもないなり」とする向きもある。
海外作家しか読まない人にとっては激しくどうでもいい事柄。

ルミノール反応

ルミノール溶液が鉄イオン等に反応して青白く光こと。
わずかな血痕にも反応する。
本格にはあまり歓迎されない。

最近の結婚式ではこれを応用したものが、
キャンドルサービスの代替として浸透している。


レッドヘリング
読者の推理を真相とは違った方へ向ける為に使われる
ニセの手がかりの事。
元の意味は燻製ニシン。

レトリック

1)
修辞学。修辞――ことばを巧みに美しく表現する‐こと(技術)

ミステリーの感想などで使われる場合、
「ユーモアとレトリックの妙をお楽しみいただければと思います。」
「法廷場面でのレトリックとロジック、私の好みだ。」

2)
作中で探偵が自慢げに語る場合はたいてい詭弁かジョークにすぎず、
後にもっとまじめな謎の解決がなされる。
例 デュパンやホームズ

しかし、レトリックとトリックの区別がなされてない場合がたまにあり、
多くは意味不明である。
例 「黒死館殺人事件」

レトリックを弄ぶのは近代リアリズム小説においてはダサいこととされるが、
ミステリーではなぜか尊敬の対象となることがある。
例 「火蛾」

ちなみに、俺の友達で、自称「レトリシャン」がいた。
自分では気の利いた言葉を吐いているつもりらしいが、
単につまらないだけだった。くだらなかった。
例 「なるへそ、それを聞くと上杉謙信の無念がわかるようだよ」


レナード・タッチ

エルモア・レナードのタッチ(筆致)。驚くようなドンデン返しがあるわけでもなく、派手なアクション・シーンがあるわけでもなく、
ストーリーがめまぐるしく展開するわけでもないのに、ではレナード作品のどこが面白いのか?
まずはその語り口の巧みさ、特に軽妙な会話を筆頭にあげることができるだろう。(勿論これは高見浩さんの翻訳もうまいという ことだが)
簡潔でありながら洒落ていて、ユーモラスな雰囲気も感じさせる文体はこの作家ならではのもの。
例えば“レナードタッチ”の名を高しめた代表作「グリッツ」の導入部、

 「弾丸をくらった晩、ヴィンセントは、やられるな、と直感した。ところはサウス・ビーチ。相手はメリディアン
  ・ストリートとシックスティーンズ・ストリートの角の街頭の陰からちかよってきた。ヴィンセントはそのとき、
  車から降りて自分のアパートに歩みよろうとしていたのだ。まだ早い時間だった。九時を数分しかまわっていな
  かったのだから。」

これだけでもシャープで簡潔、それでいながらうまく状況を説明しているのがわかるだろう。大体弾丸をくらっているの
に「やられるな」なんて冷静に考えるのがクールで気障。逆にユーモアさえ感じてしまう。この作品は犯人の特徴からい
くとサイコものになるのだが、どこか全編飄々としたおかしさにつらぬかれていて陰惨な感じがしない。


ローカルルール

ある限定された世界でのみ通用するルール。
最初から提示されていないと単なる詐欺である。
例 山口雅也「生ける屍の死」は死者の蘇りが多発する世界での殺人事件を扱う。

作中の人物はローカルルールについて文句は言えるが、
その前提を内部から疑うことは出来ない。
例 なんでJDCなんかあるんだよ、糞が!とJDCメンバーは決していわない。

ローカルルールに違反すると作者によって存在を抹消される可能性がある。
例 書斎魔神


ロジック
論理.論理学。
ミステリーにおいても、謎、トリックを解き明かすのに使われるものであるが、
トリックそのものよりもロジック展開を主にする場合もある。
<例>
安楽椅子探偵
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